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未来につながる働き方
~孤(こ)育てから共(とも)育て“とも×いく”へ~
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未来につながる働き方~孤(こ)育てから共(とも)育て“とも×いく”へ~

少子化の背景には、子育てと両立しにくい職場環境が要因の一つとして考えられ、こうした社会全体の構造・意識を変えるため家族や職場、地域社会全体で子育てを支援する「共育て」という言葉に注目が集まっています。

県では、「共育て」を“とも×いく”とし、山口県全体で子育て中の方を応援し、共に育てることが当たり前の社会の実現に向け、さまざまな取り組みを行っています。

今回は“とも×いく”の実現に向けた取り組みを行っている県労働政策課の谷口さんにお話しを伺いました。

画像:県労働政策課 谷口さんの写真

まず初めに“とも×いく”とはどういうものなのか教えてください。

県では、「共育て」を、家族だけでなく、地域や企業なども含めた社会全体で共に行うことと考えています。こうした取り組みを推進するため、県の目指す共育てを“とも×いく”(※)とし、育休の取得促進や子育てしやすい職場環境整備などの支援を行っています。

※“とも×いく”は、「共育て」という意味と、家族や地域社会、企業なども「もに・っと・くじに・わわって」という願いを込めています。

 

なぜ今“とも×いく”の取り組みを推進することが必要なのでしょうか

現在、山口県は人口減少が深刻化しており、今は約128万6千人(令和6年5月1日現在)いる人口も2050年には約92万6千人まで減少するといわれています。
こうした人口減少の流れに歯止めをかけるには、その大きな要因である少子化を克服する必要があります。核家族や共働き世帯が増えているにもかかわらず、女性が家事・育児をし、男性は仕事に専念するという性別役割分担意識は未だに根強くあります。そのため、家庭内で家事・育児の負担が女性に集中する、いわゆる「ワンオペ」となり、女性に大きな負担がかかっているのが現状です。
子どもを持つことで、さらに女性の負担が大きくなってしまう環境では、少子化の改善にはつながりません。そこで、まずは、女性が孤独な子育て(孤育て)を行う状況から、共育てへの転換を進めたいと考えています。

その第一歩として、男性の育児休業取得の促進や子育てしやすい職場環境を推進し、男性の家事・育児関連時間の増加に向けて取り組んでいます。

画像:インタビューに答える谷口さんの写真

“とも×いく”でどのような効果が期待されるでしょうか

人手不足が深刻化する中、「女性だけでなく男性にも育児休業を取得することが当たり前に」ということに、不安を感じられる企業もいらっしゃると思います。

ただ、育児休業は前もって予定できるお休みです。業務の状況に応じて休業の時期を設定したり、引継等の準備をしたりなど、比較的、スムーズに取得しやすい休業だと考えています。

実際、育児休業取得をきっかけに業務の見える化が進み、属人化の解消につながったという例もあります。
また、実際に取得された男性からは、「育児休業を取得できたことで、会社や同僚への感謝の気持ちや今後貢献していきたいという気持ちが高まった。」といった声や「自分の後輩たちにもぜひ育児休業を取得してほしい。」という声がありました。

こうした子育て中の方の仕事と育児の両立支援により、お互いを思いやる雰囲気づくりや、業務の見える化が進み、子育て中の方以外の働きやすさ、休みやすさ、そして誰もが働きやすい職場環境づくりにつながっていくと考えています。

画像:インタビューに答える谷口さんの写真

“とも×いく”を進めていくにはどのようなことが必要でしょうか

やはり、子育てを家族だけの問題にするのではなく、地域や会社も含め、社会全体で応援していくことが、当たり前になっていくことではないでしょうか。
先ほど家事・育児の負担が女性に偏っていると話しましたが、これは男性が家事・育児に参加したくないからではなく、育児休業取得による他の社員への負担を考えての遠慮や、取得しづらい雰囲気など、男性が育児に参加しにくい職場環境にあることも一因となっています。
こうしたことから、県では「育児休業取得率100%」および「1ヶ月以上の育休取得」を推奨し、働きやすい職場環境づくりに取り組む企業を「やまぐち“とも×いく”応援企業として登録する制度を始めました。
この登録企業を対象とした奨励金や、テレワークや子連れ出勤など、共育て職場環境づくりに活用できる補助金により、こうした企業の取り組みを後押しすることとしています。

トピック📢

実際に「やまぐち“とも×いく”応援企業」として育児休業の取得を推奨し、働きやすい職場環境づくりに取り組む企業の方にインタビューを行いました。

“とも×いく”に取り組む事業者の声

画像:株式会社カワサキコーポレーション 河﨑 愛さんの写真
株式会社カワサキコーポレーション
総務課 課長 河﨑 愛さん

育児は母親だけでなく両親・家族全員で行うものです。
一昔前に比べ、現在では父親も共に育児をしている方も多く見受けられ時代の変化を感じています。
男性が育児休業を取得しやすい環境を構築するためにも社内制度を見直し、実績をつくることで、これから先“とも×いく”世代が入社した際に、家庭と仕事が両立しやすい環境を提供していきます。

男性の育児休業取得予定者の声

画像:株式会社カワサキコーポレーション 小島 淳さんの写真
株式会社カワサキコーポレーション
神鋼事業部 小島 淳さん

育休を取ろうと思ったきっかけは会社から取得を進められ、妻にそのことを伝えると「取ってくれるととてもありがたい」と言われたことでした。
妻にはいつも育児や家事を任せてしまっていたので、どうにか負担を減らしてあげたい気持ちと申し訳ない気持ちがありましたが、自分からはどうしても言い出しにくい部分があったので、会社から提案していただき大変助かりました。
まずは育児に専念し、育休明けは仕事と家庭を両立しつつ、会社に貢献できるように頑張りたいと思います。

最後にメッセージをお願いします。

“とも×いく”を実現し、男女ともに仕事と育児・家事を楽しく両立していく社会にするためには、私たち一人一人の意識を変える必要があります。
そのためにもぜひこうした取り組みに関心を持っていただき、山口県全体で“とも×いく”を応援できる社会にしていきましょう!

―今日はありがとうございました!

とも×いく関連情報

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